〜本有引力〜

本と本がつながりますように

キタカガヤフリー2023 来訪記

10月最終の週末(28日・土、29日・日)、大阪でキタカガヤフリー 2023 オータム & アジアブックマーケットというイベントが開かれました。

kitakagayaflea.jp

このイベントは、大阪を拠点に、ローカル・カルチャーマガジン「IN/SECTS」を発行するLLC インセクツが主催するマーケットイベント。

以前の開催時に、本のことを通して知り合った友人が出店したりお客さんとして行っていたことで、その存在は知っていました。webで知る情報のみからの印象ですが、東京で開催されるブックマーケットなどとはまた異なる、何かとてもエネルギーに満ち溢れていることが感じられ、いつか行ってみたいと思っていました。

昨年の開催後、装丁家矢萩多聞さんが営むメディア「本とこラジオ」にて、三輪舎の中岡祐介さんをゲストに迎えた回でこのイベントのことが取り上げられ(お二人とも出店者)、ラジオを通してその様子を聞くにつけ「来年は絶対行きたい!」と、その思いはいっそう募っていました。

youtu.be

すると、なんと仕事でこの直前の日に大阪出張が入るという奇跡! これはもう天啓だと感じ、出張後にそのまま大阪に滞在して、初日の28日(土)にワクワクしながら会場へ向かったのです。

大阪の地理、決して詳しくはありませんが、新大阪、梅田を中心にそれなりになじみのあるところもあります。でも、会場のある北加賀屋、そして住之江区というのはまったく未踏の土地。遠いのかな?と思っていましたが、市内中心部から30分もあればアクセスできるところでした。

北加賀屋駅から歩いて10分ほど。平坦な道を行くと、通りには椰子の木が並び、たちまち海辺の雰囲気に。そしてトタン?の巨大な建物が見えてきました。会場のクリエイティブセンター大阪は、もともとは造船所だったところの跡地。近代化産業遺産にも指定されていて、この場所を見るだけでも一見の価値ありです。

手の甲に再入場用のスタンプを押してもらって、いざ。

事前に聞いてはいましたが、決して本だけのイベントではなく、アート、雑貨、音楽などのパフォーマンス、そしてバラエティ豊かな飲食もたっくさん。楽しみどころがいっぱいで、どう回ったものか迷ってしまうほどでした(この前後にもいろいろ予定を詰めてしまっていたこともあり)。

到着早々、アフリカンの陽気なリズムの音楽に迎えられ、思わず体が動き出し、ブワッと全身の毛穴が開くよう。周囲にはセンスたっぷりのお店がたくさんあって、ただ見歩くだけでもう楽しい。

そうは言っても、自分にとってはブックマーケットこそが本丸。最上階の3階に上がり、いざ本のフロアへ。出店者もお客さんもいっぱい。だけど空間にはほどよいゆとりがあって、並べられた本を見たり、お店の人と話たりすることも、ゆっくりと楽しめる感じ。この距離感、とってもいい。

大阪でのイベントということで、これまでweb上では縁がありながら、直には会うことができなかった人たちと直接話をする、というのが大きな目的でもありました(コロナ禍の3年というのも大きかった。出張をするのも、まさにコロナ直前の大阪以来の3年半ぶり)。

会場には3時間弱滞在したのですが、結局そのほとんどの時間は、誰かを訪ねて話すことに費やしていました。会いたかった人たちに会えて話をできたことは、本当に素晴らしい時間でした(実は、家族と合流して一緒に来ていたのですが、自分の目的に没入するあまり、子にはちょっと退屈させてまいました。ごめんね、次の日にちょっと返済しましたよ)。

なんと、まさか自分の担当書(しかも比較的マイナーなNHKラジオテキスト)とこの会場で出会うとは! SUNNY BOY BOOKSさんが片岡メリヤスさんのぬいぐるみが表紙の「こころをよむ」を並べてくれていました。

会場で注ぎたてのクラフトビールが飲めるのも嬉しい! 箕面ビール、美味しいです。

先ほども名前を挙げましたが、東京で毎年7月頃に開かれるブックマーケットなどに比べると、いい意味でよりざっくりとした、ラフな感があります。イベント全体としては、エネルギッシュでお祭り感に溢れていて、そのうち3階の本のフロアは全体に少しシュッとしてる。重なる出店者も多いけれど、もっともっと個性的でアンダーグラウンドな、ユニークさのある出店者がたくさんなのがよい感じでした(制作物も多様だし、台湾などアジアの雑誌もあったり、ボードゲームを楽しむ集いがあったり)。

言葉にまとめるのは難しいですが、シャキッとした枠組みに絶妙に収まらない感じがとてもいいのではないかと思います。本を中心としたイベントですが、本のフロア自体も雰囲気が多様で好みの場所を探せるし、別に本を置いておいても楽しめる。そう、ただその場の空気に浸るのが心地よいのです。

少なくとも開催日のどちらかは、初めから終わりまで通してその場にいて、予定に追われることなくブラブラしているのが、より良い楽しみ方なのでしょうね。あっという間に夕景を迎えた造船所を後にしながら、そう感じました。

またぜひ遊びにきたい、よきイベントでした。来年もこの時期に出張が入らないかな……?

おみやげの一部。長くいたらまだまだ買ってしまいそうですね……