「お弁当とおしゃべりのポットラック」on 1/13
すっかり遅ればせながら、本年もどうぞよろしくお願い致します。
元日から、非常につらく厳しい出来事が続いております。能登での震災をはじめ、被害に遭われた・遭われている方々に、心よりお見舞い申し上げます。少しでも早く安心を得られますよう、心より祈念しております。
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池上ブックスタジオは、先週末より本年の営業を開始しております。
そして今週末、1月13日(土)は、私・さるうさぎブックスが久しぶりにお店番に入ります。
現在の私の棚のテーマは「お弁当」。それに絡めて、この週末は「お弁当とおしゃべりのポットラック」と題してお店番をしたいと思います。
……といっても、特別な仕掛けはございません。自分の棚にある本を中心に、「お弁当」にまつわる本を並べておきます。それらを手にとっていただきながら、みなさんの「お弁当」の思い出・記憶について、ぜひお話しいただければ嬉しいです。
昨年12月に参加した「おうち、」@ルーサイトギャラリー では、「お弁当」をテーマに出店メンバーのいろいろな話を聞き(その冊子も、今回並べます)、またお弁当にまつわる本を並べるために自分でいろいろと読んでみました。
お弁当にまつわる記憶は、甘く楽しいものから、酸っぱい・苦いものまで、実に多種多様で、本当におもしろい。
よろしければぜひ、皆さんの「お弁当」の記憶を携えて、遊びに来てください。
2023年、毎月の一冊
仕事も家のこともまだまだ納まっていない今日このごろですが、#木曜日は本曜日 というタグをつけた記事を上げ始めた本年の、本屋活動の〆として、最後の記事を上げたいと思います。
一年の活動を総括してみたり、「今年の一冊」について書いたり……ということができればよいのですが、ていねいに振り返りをする余裕が心身ともにないのが正直なところ。そこで、「毎月の一冊」ーー今年の各月に読んで印象に残った本を、ヒトコト添えてご紹介することにします。
1月:奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』
1月の本であり、今年最初の、そして最高の一冊と言ってよい本です。
言語を学ぶことは、ただ記号や意味を知識として得ていくことではなく、その言語を通して生きること。そして、それを何よりも体現し、私たちに語ってくれるのが文学であるということ。
文学や芸術などは、人生において余技――生活上の余裕のうえにあるもの――ではなく、人が生きるうえで欠かせない本質的なものなのだということを、今年はいろいろな機会で考えさせられましたが、そのことを最も強く印象づけてくれたのが、この一冊でした。
2月:家永真幸『パンダ外交』
2月21日、上野動物園にいたシャンシャン(香香)が中国に帰っていきました。そのタイミングで、人づてに譲り受け長らく積読になっていたこの一冊を読みました。
「パンダ」というひとつの現象から、社会が、歴史が、幅広く深く読める。学生の頃から好きなジャンルですが、文化史ってやっぱりおもしろいと改めて実感しました。
ちなみに、著者の家永さんとは、まさにその学生時代に縁があり、一緒に留学生たちと遊んだり飲んだりしたことがあります。
3月末に敢行した、小学校を卒業する子との旅。第一目的はベルリンでしたが、もう1都市どこかに……ということで定めたのがチェコ・プラハでした。20年ぶりに訪れるプラハの予習として、以前にも読んでいて大好きなこの一冊を再読。
冒頭から登場する、プラハで最も伝統あるビアホール「ウ・ズラテーホ・ティグラ(黄金の虎)」。『もやしもん』8巻(ビール編)にも登場するこのお店に、機会があればぜひ行きたいなぁ……なんて思っていたら、滞在したホテルと観光の中心地・旧市街広場のあいだにあるではないですか!
巨大なザックを背負ったまま、という一見さん丸出しな状態で申し訳ない気持ちもありつつ、次に訪れる機会はそうそうないだろうと、思い切って飛び込みました。ピルスナー・ウルケル、甘くてコクがあって美味しかったです。
4月:「IN/SECTS」vol.16 本をつくる
いつも興味深いテーマで、深く掘ってくる「IN/SECTS」。特にこの「本をつくる」号はおもしろかった。ちょうど自主制作的な本を手掛けようとしていたタイミング、非常に響きました。
全国のユニークな小さな出版活動のデータベースとしても、非常に価値ある一冊です。
5月:遠藤周作『沈黙』
GWに地元に戻った際に、いろいろ文庫を掘り出して持って帰ってきたなかの一冊。仕事にもつながるものとして、大学生の頃以来?に読み直しました。
神とはなにか。信仰とはなにか。人間が気にする表面的な信仰のかたちによって、神は心より己を頼りにする人を拒絶することがあるのだろうか。どの時点から人の信心は神に受け入れられるのかーー私自身は信仰を持っていませんが、本当に深い問いのある一冊で、読んで半年以上が経ったいまもなお、この問いについて考えることがあります。
6月:パトリック・スヴェンソン『ウナギが故郷に帰るとき』
ウナギの生態を巡る、科学的史的文化史ーーつまり、その生態を追った人々の探求の歴史がひとつの軸になっているのですが、生物学=サイエンスが基礎にある話でありながら、人文的な知的好奇心をくすぐる話題が豊富に含まれていて、なんとも読み応えがあるのです。
さらに、もう一つの軸が、著者自身の、ウナギそして自然と暮らしてきた記憶をめぐるエッセイになっていること。ローラ・インガルス・ワイルダーの「大草原の小さな家」シリーズなど、自然と関わりながら生きる人びとの世界を見ているような、そう、いつの間にか物語作品を読んでいるような、不思議な、そして心地よい読書感覚に陥る一冊でした。
もう文庫化されているようです。手軽に手に取れるのもよいですが、単行本の装丁が素敵なのでそれもぜひ御覧ください。
7月:多和田葉子『白鶴亮翅』
朝日新聞での連載小説の単行本化。その連載時に、毎日一枚、掲載されていた溝上幾久子さんの版画の原画展@hasu no hanaにて、手に入れました。本には挿絵はありませんが(カバーを外すと表紙に素敵にアレンジしてあります)、展示で味わったその原画の世界観をふわふわと保ったまま読みました。
一見、何も目立つことが起こるわけではない日々の描写なのに、一冊を通してものすごくたくさんの、そして小さな世界を見るようです。タイトルの「白鶴亮翅」は太極拳の型?動作?の名称ですが、物語の中でも太極拳が一つの大事な要素となっています。その太極拳の動きのように、たくさんのまったく異なる小さな事々が、明確な境を持たずに流れていくような、そんな印象でした。この世は小さな「境界」がいくつも複雑に接していて、そこには個々に切実なことがある。
8月:川原繁人『フリースタイル言語学』
おもしろい言語学の本がないかな、と思って探していたなかで、はじめはタイトルと装丁から若干手に取るのを躊躇していた一冊。でも開いたら絶妙におもしろい。文章のリズムがいいのは、やはり音韻論がベースの方だからでしょうか。
研究者としての真摯な姿勢と方法で、ポケモンやメイドカフェといった身近で親しみやすい対象に取り組む。楽しくないわけがありません。内容・文体的にも、また著者の自己評伝的なところを読む意義という点でも、中学生の子にも勧めたいと思いました(まだ渡していない)。
9月:深緑野分『この本を盗むものは』
こちらも、もともとは子の誕生日に贈ったもの。それを夏休みの宿題の読書感想文に選んだということで、どれどれと自分も読んでみました。
ストーリーの構成、そして結末は、若干荒唐無稽で都合がいいかな、と感じる面もありましたが、「『本好き』ってなんだろう」ということについて考えさせてくれるところが興味深い。街の書店の事情みたいなことも含めて、作中にいろいろな立場が織り込まれている点がよいですね。
10月:今村翔吾『イクサガミ 地』
週刊誌の書評で見かけて、なんだかおもしろそう、と思い手にとった一冊。既刊の『〜天』と併せて、それこそ物語の主人公たちが東海道を東へ猛烈に進むのと同じように、一気に読み進めました。
剣士によるバトルロワイヤル、というのは漫画「我間乱」を思わせるところがありますが、現実の歴史との重ね合わせ方が絶妙で、そのリアルさにぞくぞくさせられます(『〜地』の巻の結末には、思わず嗚呼……と)。
早く第3巻(『〜人』?)が読みたい。今村翔吾先生、よろしくお願いします!
11月:瀬尾まいこ『私たちの世代は』
刊行当初から(勝手に)あちこちで激推ししていた『夜明けのすべて』の映画化が決まり、注目されていた瀬尾まいこさんの新作。ようやく読むことができました。
「コロナ禍」の時代を経た、子どもたちの物語。
よくわからないものでも、あえて前情報を入れずに物語に入っていくのがいつもの読み方(なので、特に翻訳文学などでは、キャラクターの声が定まらないと、入り込むのに時間がかかることも)。この作品も、最初はちょっとぼんやりと感じられる。けれど、それは明らかに作者が意識して採った書き方なのでしょう。読み進めるほどに、マニュアルフォーカスのレンズのピントリングを回して、徐々に、そしてキリッと像が立ってくるような、そんな読書体験。
登場する人たちの優しさと切実さに、そしてこの3年間のこと、明確に認識はできない重さを負い、それを言葉にできないできた人(子どもたち)のことを想像して、目の前が滲んできました。
何かが終わった、区切られたわけではないけれど、今年のこのタイミングで読めたことを、大切にしたいと思います。
12月:藤井基二『頁をめくる音で息をする』
読み挿しになっていたところを、荷物が多いのでちょっと軽めの本がほしいな、と思って本棚から取り出しました。
深夜の古本屋の店主が語る話。だから、やはり夜、お酒かあたたかいものを飲みながら読むのがいちばんいい(オレンジ色の光で)。でも、朝の通勤電車であっても、ぐっと惹きつけられてしまう、文章の味わいがあります。
詩が、著者の根底にあるからなのでしょう。エッセイとして書かれたものと、日記として記されたものが収められていますが、それぞれに味わい深い。どこを開いても、本の気配、息遣いが感じられるような。
こういう文章を、日々のなんでもない記録として書けるようになりたいなーー来る年の、自分のゆるやかな目標にしようなどと思いました。
そんなわけでまもなく暮れる本年。まだまだ読みたい本はあるけれど、読める時間には限りがあります。積読が多々あることは承知しながら、とりあえず今日は、もう一度『夕暮れに夜明けの歌を』を持って出かけました。
残り僅かな本年も、そして来る年も、みなさんに佳き本との出会いが訪れますように。
「おうち、」2023、開催します
「おうち、」
「おうちにあったら楽しいもの並べました」というコンセプトで、浅草橋にある昭和の邸宅を改装した心地よいギャラリーで2006年から、2年に1回開かれている、ユニークなグループ展。
……数字が合いませんね(笑)
実は途中でちょっとした手違いがありまして、2014年の次が2017年に。以後、奇数の年に開催しています。
今年は、12月2日(土)〜9日(土)に開催されます。
そして私、さるうさぎブックスは、2019年(第7回)から参加しております。
そのあたりの経緯は、前回開催時の記事をぜひ。
ただいま、3冊目となる冊子の編集を鋭意、進めております。12月、柳橋の心地よい空間にて、ぜひお会いしましょう!
<開催概要>
「おうち、」2023
12月2日(土)〜9日(土)
11:00〜18:00 (最終日17:00まで)
lucite cafe open(3日〜9日)
NUU Live(12/7(木)17:30開場18:00開演)
Gt. 笹子重治/ Vn.江藤有希
□入江英樹(写真)
□フクダカヨ(絵)
□大谷哲也(白いうつわ)
□大谷桃子(絵付けのうつわ)
□藤原純(陶彫)
□五月女寛(陶・墨象画)
□kata kata(染色)
□多鹿治夫鋏製作所(鋏)
□NUU(唄)
□miyazono spoon(木の匙)
□さるうさぎブックス(本)
□sonor(革のバッグ)
ルーサイトギャラリー
〒111-0052 台東区柳橋1-28-8
http://www.lucite-gallery.com
Instagram @lucitegallery
キタカガヤフリー2023 来訪記
10月最終の週末(28日・土、29日・日)、大阪でキタカガヤフリー 2023 オータム & アジアブックマーケットというイベントが開かれました。
このイベントは、大阪を拠点に、ローカル・カルチャーマガジン「IN/SECTS」を発行するLLC インセクツが主催するマーケットイベント。
以前の開催時に、本のことを通して知り合った友人が出店したりお客さんとして行っていたことで、その存在は知っていました。webで知る情報のみからの印象ですが、東京で開催されるブックマーケットなどとはまた異なる、何かとてもエネルギーに満ち溢れていることが感じられ、いつか行ってみたいと思っていました。
昨年の開催後、装丁家・矢萩多聞さんが営むメディア「本とこラジオ」にて、三輪舎の中岡祐介さんをゲストに迎えた回でこのイベントのことが取り上げられ(お二人とも出店者)、ラジオを通してその様子を聞くにつけ「来年は絶対行きたい!」と、その思いはいっそう募っていました。
すると、なんと仕事でこの直前の日に大阪出張が入るという奇跡! これはもう天啓だと感じ、出張後にそのまま大阪に滞在して、初日の28日(土)にワクワクしながら会場へ向かったのです。
大阪の地理、決して詳しくはありませんが、新大阪、梅田を中心にそれなりになじみのあるところもあります。でも、会場のある北加賀屋、そして住之江区というのはまったく未踏の土地。遠いのかな?と思っていましたが、市内中心部から30分もあればアクセスできるところでした。
北加賀屋駅から歩いて10分ほど。平坦な道を行くと、通りには椰子の木が並び、たちまち海辺の雰囲気に。そしてトタン?の巨大な建物が見えてきました。会場のクリエイティブセンター大阪は、もともとは造船所だったところの跡地。近代化産業遺産にも指定されていて、この場所を見るだけでも一見の価値ありです。
手の甲に再入場用のスタンプを押してもらって、いざ。
事前に聞いてはいましたが、決して本だけのイベントではなく、アート、雑貨、音楽などのパフォーマンス、そしてバラエティ豊かな飲食もたっくさん。楽しみどころがいっぱいで、どう回ったものか迷ってしまうほどでした(この前後にもいろいろ予定を詰めてしまっていたこともあり)。
到着早々、アフリカンの陽気なリズムの音楽に迎えられ、思わず体が動き出し、ブワッと全身の毛穴が開くよう。周囲にはセンスたっぷりのお店がたくさんあって、ただ見歩くだけでもう楽しい。
そうは言っても、自分にとってはブックマーケットこそが本丸。最上階の3階に上がり、いざ本のフロアへ。出店者もお客さんもいっぱい。だけど空間にはほどよいゆとりがあって、並べられた本を見たり、お店の人と話たりすることも、ゆっくりと楽しめる感じ。この距離感、とってもいい。
大阪でのイベントということで、これまでweb上では縁がありながら、直には会うことができなかった人たちと直接話をする、というのが大きな目的でもありました(コロナ禍の3年というのも大きかった。出張をするのも、まさにコロナ直前の大阪以来の3年半ぶり)。
会場には3時間弱滞在したのですが、結局そのほとんどの時間は、誰かを訪ねて話すことに費やしていました。会いたかった人たちに会えて話をできたことは、本当に素晴らしい時間でした(実は、家族と合流して一緒に来ていたのですが、自分の目的に没入するあまり、子にはちょっと退屈させてまいました。ごめんね、次の日にちょっと返済しましたよ)。
先ほども名前を挙げましたが、東京で毎年7月頃に開かれるブックマーケットなどに比べると、いい意味でよりざっくりとした、ラフな感があります。イベント全体としては、エネルギッシュでお祭り感に溢れていて、そのうち3階の本のフロアは全体に少しシュッとしてる。重なる出店者も多いけれど、もっともっと個性的でアンダーグラウンドな、ユニークさのある出店者がたくさんなのがよい感じでした(制作物も多様だし、台湾などアジアの雑誌もあったり、ボードゲームを楽しむ集いがあったり)。
言葉にまとめるのは難しいですが、シャキッとした枠組みに絶妙に収まらない感じがとてもいいのではないかと思います。本を中心としたイベントですが、本のフロア自体も雰囲気が多様で好みの場所を探せるし、別に本を置いておいても楽しめる。そう、ただその場の空気に浸るのが心地よいのです。
少なくとも開催日のどちらかは、初めから終わりまで通してその場にいて、予定に追われることなくブラブラしているのが、より良い楽しみ方なのでしょうね。あっという間に夕景を迎えた造船所を後にしながら、そう感じました。
またぜひ遊びにきたい、よきイベントでした。来年もこの時期に出張が入らないかな……?
伊藤亜紗さん✕池上ブックスタジオ トークイベント開催しました!
先週末の9月23日(土)、美学者の伊藤亜紗さんを池上ブックスタジオにお招きして、トークイベント「今だから話したい。本と居場所とまちのこと」を開催しました。
朝、聞き手の二人と一緒に池上駅まで亜紗さんを迎えに行き、おしゃべりをしながらスタジオまで移動。天候がよければ打合せをしながらもっとまちを歩いてもよかったのですが、薄っすら雨の残る天候だったので、早めにスタジオに来ていただいて、雑談も交えつつ簡単に打合せ。
午後から池上ブックスタジオは通常営業するため、トーク後はいったん会場をバラす必要がありました。そのため、イベントの進行としてはやや異例ですが、開場後、お越しいただいたお客さんには、自由に亜紗さんと話したり本にサインをいただいたりすることもOKに。トーク前から壇上と客席がなじむ、なんとも不思議で楽しい場となりました。
そして始まったトークは、想像をはるかに超えて楽しく、深いものになりました(これから配信でご視聴いただく方もいらっしゃると思うので詳細は控えます。ぜひご覧いただきたいと思います!)
トークが始まって早々に「一体どこまで行くのだろう?」と驚くほど深いところまで話が掘り下げられ、思わず時計で残りの時間を確認して少し心配に感じるほどでしたが、そこからの話の流れのなんと鮮やかなこと。壇上からも客席からも、笑いが溢れつつ、時にぐっと集中したモードに入る。そのバランスの絶妙さを支えていたのは、亜紗さんの言葉の使い方の妙だと感じます。
身近なことをテーマにしながら、スムーズに言語化するのが決して簡単とは言えないようなことが、今回のトークでは軸になっていたように思います。それに対して、誰にでも伝わる語彙で、そこに亜紗さんならではの解釈や発想の広がりを付与したうえで、聞き手に投げかける。語彙も付与されたイメージも実に具体的だから、聞き手はその意外さに驚きつつも深く納得する。そして何よりもそれがおもしろさに満ちている。
トークのなかで、亜紗さんはそうした言葉の使い方・生み出し方を「おもしろい“おもちゃ”をつくる感じ」と表現されていましたが、まさに膝を打つ思いでした。言葉や概念は、人と人とがやり取りをしたり考えを深めるための道具。であるならば、それは楽しく使えるものであったらいい。
トーク中、私は写真撮影を中心に裏方に回っていたので、断片的ながらメモを取りながら聞くことができました。そのメモを改めて読み直してみると、本当に印象的なキーワードがたくさん散りばめられていました。
さまざまな話が繰り広げられましたが、なんといっても重要なのは、本の言葉はすべて誤解されるものであるということ。そして、そのような言葉が種として蒔かれ、誰かに届いて芽吹き、その人のなかで実り、そしてまた新たな種となって蒔かれること。誤解される種として。
トークの抜粋としては、これだけで十分に誤解を招く表現だと思いますが(笑)、池上ブックスタジオという場ならではの、そしてこの場限りの、貴重なお話を伺うことができました。トークや講演に多数出演し、インタビュー記事もたくさん読むことのできる亜紗さんですが、ほかにはないユニークな、魅力的なお話だったと思います。
今週末10月1日(日)12時〜、そのトークを配信致します(1週間の見逃し配信アリ)。
「今だから話したい。本と居場所とまちのこと」ゲスト:伊藤亜紗さん(配信版)
※チケットはこちら!
<配信概要>
■ 日時
2023年 10月1日(日)12:00~13:15
■ 出演
伊藤亜紗(いとう・あさ)さん
佐瀬優子(させ・ゆうこ) アトリエ言景主宰/池上ブックスタジオ「はいくや」「まちよみ」棚主
荻野章太(おぎの・しょうた) 東急株式会社/池上ブックスタジオ「Bruno Ogino」棚主
■ 視聴料
1,200円(配信日より約一週間 10月8日11:55まで視聴可能)
※チケット購入は10月2日 11:50 まで可能。
■ 主催・企画:さるうさぎブックス Baobab Design Company
■ 撮影・技術:堤方4306 youtube
よかったらぜひ、ご覧いただければ嬉しいです。亜紗さんの本から始まった種、ぜひ受け取ってください。