〜本有引力〜

本と本がつながりますように

「池上ブックスタジオ 棚主がすすめる“クリスマス・ブック”フェア」を開催しました

あっという間に、今日はもうクリスマス・イブですね。

まとめが遅くなりましたが、12月の11・12日、18・19日の4日間は、池上ブックスタジオで「棚主がすすめる“クリスマス・ブック”フェア」を開催しました。

きっかけは、10月のとある開店日に集まった数名の棚主の会話。たまたまドイツに縁のある人が集まっていたことで、「クリスマス・マーケットみたいなことができたら楽しいよね」という話題になったのです。

ホットワインを片手に、さまざまなクリスマスの本を巡る……すぐにそんな素敵な妄想が、みなの頭の中に浮かびました。ツリーや飾りもあったらいいな、シュトレンやジンジャークッキーも用意して……なんて楽しいことでしょう!

ただ、新型コロナの問題がある現在の状況下、理想どおりの催しを開くのは難しいところ。そこで、いまできるかたちで、クリスマスらしい楽しい企画を考えてみることにしました。

ブックスタジオに参加した当初から、それぞれの棚の店主が同じテーマについて本を選んだら、それだけできっと素敵な棚ができるだろうと考えていました。そこで、自分がお店番に入る12月12日(土)に、それぞれの棚主に“クリスマスの本”をおすすめしてもらい、ひとことコメントを添えてそれらの本を展示することにしました。

おすすめ本の募集をする間に、前後のオープン日でお店番に入る棚主の方々から連携して開催しようという嬉しいご提案を受けて、自分のお店番の日を含む2週間(金土の4日間)の企画となりました。続々集まるおすすめ本のラインナップを見ていて、これは一日だけの企画にするのはもったいないなと感じていたので、本当にありがたいことでした。

※「はいくや」さん作成の素敵なフライヤー。後の写真を見ていただくとおわかりのように、棚主のおすすめコメントカードもおそろいのデザインになっています。

そして、あっという間に企画の開催日を迎えました。開店日ごとに本の展示の仕方が変わり、徐々に本やコメントが追加されたりもしたので、4日間それぞれに異なる雰囲気の空間を楽しんでいただけたのではないかと思います。

おかげさまで、子どもにも大人にも大好評。私たち店側もお客様も新型コロナ対策には十分に気をつけつつ、入れ替わり立ち替わり、たくさんの方々がお越しいただき、本を手に取り、クリスマスの話を楽しんでいってくださいました。

20人ほどからおすすめ本が集まったのですが、これがおもしろいくらいに多種多様。棚主のみなさんの個性を改めて実感するのと同時に、準備の間にあちこちの書店を回っていて、“クリスマスの本”の豊穣さというものを感じました。

もちろん、いくつかの本は複数の棚主がセレクトしており、その本にまつわる各々のエピソードを添えて。また、同じタイトルだけれども、バリエーション違いでこんなに集まるの!という驚きも。

この企画のために集まった多彩な本を見ていて、そしてそれを見に訪れてくださった方々が目を輝かせて本の間を巡ったり、ゆっくりと本を手に取ったり、懐かしい思い出話に花を咲かせたり、そして最後は笑顔で帰っていかれる様子を見ていて、クリスマスというものがもたらす特別な雰囲気の力を目の当たりにした思いです。

もちろん、さまざまな困難な状況にあって、このクリスマスの時間をまったく楽しむことのできない人もたくさんいらっしゃることと思います。それでも、すべての人に少しでも心穏やかな時間が訪れますように……と、たくさんの本と訪れてくださる方々を見ていて感じました。

そうして無事に執り行うことができた今回のクリスマスイベント。池上ブックスタジオにとっては、棚と棚どうしがつながるという新しい可能性を発見できる機会となりました。今回の経験を糧に、お客様にとっても、お店側にとっても、よりよいお店づくり、企画づくりができたらよいな思っています。

今回は、具体的な本のことにはまだ触れていませんでしたね。では最後に、私の選んだおすすめ本をご紹介したいと思います。

村上春樹・佐々木マキ『羊男のクリスマス』

心躍るクリスマスが近づくのに、なぜか物事がうまく進まずに悲嘆に暮れる羊男。「クリスマス・イブに穴のあいたドーナツを食べた」ために呪いをかけられてしまったことを知った羊男は、その呪いをとくために不思議な旅に出かけます――

かわいらしくもどこか不可思議さを感じさせる佐々木マキさんのイラストに、その雰囲気を見事にひとつの小さな冒険にまとめた物語。大学生の頃にこの本を読んで以来、クリスマス・イブには必ず、穴のあいたドーナツを食べるようにしています(今年もおやつにいただきました)。

そしてもう一つ、「するする」さんが新版の絵本バージョンをおすすめしていましたが、こちらも大切なクリスマスの本です。

トーベ・ヤンソン『もみの木 ムーミン谷のクリスマス』

本来、冬の間は雪に埋もれた家で冬眠するムーミントロール。ところがたまたま目を覚まして、冬の世界に起きてきたムーミン一家は、いままでその存在を知らなかった“何か”がやってくると聞き、正体のわからないその“何か”に対処しようと、慌てて準備を始めるのですが――

子どもがもっともっと小さかった頃に、図書館でこの本を見つけました。夜、ベッドで一緒に読んでみたところ……ここから、「小さな小さな朗読劇の会」の開催へとつながっていったのでした。

https://note.com/jj_coba/n/n0b6c47b8ebb8

https://note.com/jj_coba/n/n704687f84abc

https://note.com/jj_coba/n/n3e39e84c8b8d

読み進めると、「あぁ」と理解して笑みがこぼれ、そしてしみじみ心を打たれる。クリスマス・ツリーを囲んで、ゆっくりとした気持ちで味わいたい物語です。

もうすっかり夜の時間。サンタクロースが空をやって来る頃でしょうか。

サンタクロースの贈り物といえば、以前に下記の記事にも記しましたが、わが家に訪れるサンタは、毎年、子どもが希望するおもちゃに加えて、本を1冊届けてくれるのです

https://note.com/jj_coba/n/nb408e9f0f75f

今年はいったいどんな本が贈られてくるのか、親子で楽しみに待ちたいと思います。

Merry Christmas!!